“そうなりたい、こうありたい”という強い想いが、状況を少しずつ変えていく。受験勉強も医師の仕事も、「継続は力なり」が私を支える信条ですね。

日山久美子 先生 東邦大学医療センター大橋病院 呼吸器内科

  • 出身大学東邦大学医学部医学科
  • 出身高校英数学館高校

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決して遠回りではなく、大切なことを学んだ富士学院での3年間

私は広島出身で、浪人時代の3年間は富士学院でずっと過ごしました。医学部進学までにある程度、時間は掛かりましたが、今になって考えれば、決してムダにはなっていません。当時、授業は4人教室で私にとっては進み方もちょうどいい感じでした。それまで分からないまま見過ごしてきたことをもう一度さかのぼって自分のペースでじっくり勉強できて本当に良かったです。受験のために一時的に覚えるというよりも、≪理解しておく≫ということが後々医学部で学ぶ時にも、医者になってからも役立つわけですから、決して遠回りではなかったと思っています。私は夜の自習タイムに分からないところをいつも教えに来てくれた先生方には本当に感謝しています。寮の仲間たちとも仲良くなれて、いろんな人の温かさに触れることで、やる気と元気、そして頑張り抜く勇気をもらいました。卒院して10年近くになる今でも、時間があれば当時の寮の友達と会ったり、懐かしの富士学院福岡校に先生を訪ねたりしています。

高齢化とともに増え続け、日本人の死因の上位に入る呼吸器疾患

私は今、母校の東邦大学の医療センター大橋病院の呼吸器内科に医局員として勤めています。ここでは、高齢者に発症しやすく、今後の増加が懸念されている日本人の死因第3位の肺炎や、ガンの部位別死亡率で男性トップの肺ガンをはじめ、死因第9位の慢性閉塞性肺疾患(COPD)など様々な呼吸器疾患を対象にしています。 死因上位にある診療科だけに、早期発見のための検査方法は日進月歩。東邦大学で特に力を入れているのが、慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息などの呼吸器疾患の検査にも幅広く用いられる「FOT法」という新しい精密肺機能検査です。これは、患者さんが何度も努力して苦しい程の呼吸をしなくても、ごく自然な呼吸のままで簡便にらくに検査ができ、測定結果が色や数値ですぐ分かるというもので、全国の医療機関に先駆けて導入しています。 そんな最先端医療の環境の中で、私は外来と病棟の両方を担当し、気胸や胸水貯留などの場合、メスを使った簡単な外科的処置も手がけています。週1回の当直もあり、なかなか大変ですが、毎日が新たな出会いと刺激と勉強の連続で、忙しさも忘れてしまう充実した日々を過ごしています。

診療科の中で、患者さんといちばん長く付き合っていく呼吸器内科

患者さんは、風邪や急性・慢性の気管支炎、気管支喘息、肺炎、咳、痰、血痰、息切れ、喘息、胸痛、肺気腫、肺ガンなど実に様々。症状も慢性的な咳、痰だけが続く人や、あまり自覚症状が出ない人、激しい発作が出る人、人工呼吸器の装着が必要な人などそれぞれですが、ひとつ共通して言えることは、慢性化しやすい疾患が多く、場合によっては発症から看取りまで立ち会うことになるなど、一人ひとりの患者さんと長く付き合っていく診療科であるということです。 老化や喫煙などが原因で、気管支が狭くなったり、肺胞の破壊が生じて呼吸に苦しむ患者さんの症状変化と向き合い、患者さんの苦痛をどう和らげ、QOL(生活の質)をどう守っていくのか。患者さん一人ひとりの人生に深く関わり、一緒に最善の道を模索していくことに、大きなやりがいを感じています。

すべては「医師になりたい」という強い想いがあればこそ

患者さんと向き合う日々の中で思うことは、医師というのは日々是勉強。国家試験に合格したらなれるというものでなく、そこからまた新しい学びが必要だということです。 私の場合、呼吸器内科を専門としていますが、呼吸器内科は呼吸器外科はもちろん、全身の諸臓器と関連があり、心臓や消化器系や内分泌代謝系など、内科全体のことをもっともっとよく識った上で、最適の治療方法を考えていく必要があるわけです。 皆さんは今、受験勉強で大変だと思いますが、一番大切なのは「医師になりたい」という強い想いです。それがあってこそ、すべての努力が積み重なっていく。「継続は力なり」ーどんなに苦しい状況にあったとしても、きっと好転します。いつの日か、医療の現場でお会いできる日を楽しみにしています。